30代、男性、デスクワーカー
2週間前から首や肩甲骨内側が痛むようになりました。下を向いても痛みはでないそうです。この痛み方は初めてで、市販のロキソニンを飲んだが少し楽になるくらいでした。むち打ちのように頭や首に衝撃が加わることはなかったとのことです。しかし、趣味でダンスをされており、医療機関は受診していませんでした。
<来院時の症状>
・上を向くと首と肩甲骨内側に痛みがでる。
・うつ伏せでも首と肩甲骨内側に痛みが出る
・下を向いても痛みは出ない。
・腕を挙げると楽になる。
・くしゃみ、せきで痛みがでる。
<施術後の経過>
初診のため問診を行い、交通事故や外傷歴はなく、めまい・物が二重に見えるなどの随伴症状は出ていないことでした。
◎ 一般医学的検査
運動・感覚・腱反射の検査は特に異常はありませんでした。
整形外科的検査では、バルサルバ(+)、サービカルコンプレッション(-)、マキシマムコンプレッション(+)バコディ(+)
◎ カイロプラクティック的な検査
姿勢の側面分析は、脊柱の生理的弯曲の消失がみられた。猫背や頭が突き出た姿勢。
可動域検査では、体幹の伸展制限、肩甲骨の内転・下制の制限。
下部頚椎のハイパーモビリティ(動きすぎ)、頭部・上部頚椎・胸椎のハイポモビリティ(動かない)がみられました。
◎ 評価
整形外科検査では、頚椎変性疾患(骨・椎間板・靭帯などの変性)の可能性が示唆されました。
姿勢は胸椎全体の猫背であり、頭部・上部頚椎・胸椎はハイポモビリティ(動かない)、下部頚椎はハイパーモビリティ(動きすぎ)の上位交差性症候群(アッパークロス症候群)が疑われる状態であった。
※ 出典元:筋骨格系のキネシオロジー
◎ 治療
まずは、医療機関の受診をすすめました。初診治療では猫背姿勢を取り除くアプローチを行い、頚部は牽引治療のみ行った。治療後は痛みはあるが動かしやすくなったとのことでした。
その後の医療機関での診断は、椎間板ヘルニアや椎間孔の狭窄などの頚椎変性疾患を認められる明確な所見はなく、周辺の組織を痛めた疑いがあるとのことでした。
医療機関の診断も含め、初診の評価通り、デスクワークなどの長期的な不良姿勢から頚部周辺の組織に負担が加わり、頚椎椎間板症のような組織損傷が可能性が考えられました。(下図は頚椎断面図)
組織損傷部への負担を軽減するため、1~8回までは週1回での治療を行い、デスクワークなどの座り方の指導を行いました。(2ヶ月経過)
痛みも引き始めたので、9~14回までは2週1回の治療に変更し、脊柱の機能改善を行うためホームケアを指導しました。(5ヶ月経過)
痛みもだいぶ減り、体の機能も安定してきたので、15~17回までは3週1回の治療に変更し、ホームケアの強度を上げました。(7ヶ月経過)
18回目以降はメンテナンスに移行しました。
<カイロプラクターからのコメント>
本症例では、頚椎変性疾患が疑われる所見でした。しかし、医療機関では明確な異常が確認できませんでした。この様な場合、椎間板症などの組織損傷が多く見受けられます。これは体の機能が乱れ、損傷部位への負担が増加したことで損傷したケースといえます。
治療で大切なことは、痛みを取り除くこと、また同様の損傷を繰り返さない体作りをすることです。長期的な機能の乱れは、組織への大きな負担から頚椎変性疾患を生じてしまいます。そのため、症状がなくても体のケアがとても重要になります。
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